一般不妊治療について
まずはカップルで基本的な検査を行い、それから治療の方針を決定していきます。
妊娠に至らなかった理由を探し、原因を見つけることで適した治療法を選択するためです。
基本的な検査と実施時期
保険内治療
- 内診・超音波検査・クラミジア抗原検査 : 初診時
- 血液検査(ホルモン検査) : 月経3-5日目
- 子宮鏡検査/子宮卵管造影検査 : 月経7-12日目
- フーナーテスト : 排卵期
- 黄体期ホルモン検査 : 高温期7日目
- AMH(抗ミューラー管ホルモン:卵巣予備機能検査)
自費検査(いつでも検査可能、すべて血液検査)
- 精液検査 : いつでも検査可能
- 抗精子抗体
- 感染症検査(梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV)
- 風疹抗体、血液型
タイミング法
妊娠しやすい最適なタイミングで性交渉を持つよう、医師が指導する方法です。
超音波検査にて卵胞のサイズを計測し、排卵日を予測します。不妊症検査で治療可能な原因が分かった場合は、適宜薬物療法を追加します。
妊娠しやすいベストな日(排卵の前日から排卵日)を医師が推定し、その日に夫婦生活のタイミングを取ります。
- 検査時期:月経12日目前後
投薬(排卵誘発剤)をプラスし、確実に排卵を促す方法
不妊症検査で排卵障害が見つかった場合には、排卵誘発剤(内服薬や注射薬)を併用します。
自然周期採卵:mild IVF(クロミフェン周期)のプロトコール
自然周期採卵:mild IVF(クロミフェン+FSH/hMG周期)のプロトコール
自然周期採卵:mild IVF(クロミフェン+FSH/hMG周期)のプロトコール
人工授精(AIH)
「人工」という言葉を聞くと、人為的に精子と卵子を受精させるイメージがありますがそうではありません。
人工授精とは、マスターベーションなどによって精液を採取し、その精液を洗浄した上で運動良好な精子を集め、細いカテーテルを使って女性の子宮内に精子を注入する方法です。
女性はタイミング法と同様、排卵誘発剤(内服薬や注射薬)を併用する場合があります。
人工授精の妊娠率は、5〜10%です。
人工授精に適している方
- 精子・性液の量的・質的異常
- 機能性不妊
- 射精障害・性行障害
- 精子-頸管粘液不適合
- 精子採取前の禁欲期間は1〜3日以内が目安です。
- 採取からおよそ5時間以内に持参して下さい。(精液調整には60分ほど時間がかかります。精液所見が極端に悪い場合は、治療をキャンセルする場合があります)
人工授精を行う期間について
人工授精で妊娠された方の9割以上は人工授精6回目までに妊娠されています。このことから、人工授精が有効な期間はおよそ半年と考えられています。
人工授精の次のステップは高度生殖補助医療(体外受精/顕微授精)になりますが、必ずしもステップアップしなければいけないわけではありません。
まずはカップルでよく相談し、納得の上でステップアップを検討してみてください。
タイミング法・人工授精を行う前に・・・
決められたタイミングで夫婦生活を持つ、あるいは精液を採取するということは妊娠を望むカップルにとって強いストレスになることがあります。
ちょっとしたお互いの気持ちのすれ違いやコミュニケーションが上手く図れないことにより、つい喧嘩になってしまうことも。
特に「この日を逃せば妊娠できない」という女性側の焦りが男性にプレッシャーを与えてしまったり、ケンカをしていまい、夫婦生活のタイミングを逃してしまうことや、人工授精当日に精液を採取できなかったというようなことはよくあることです。
治療へのストレスは逆に妊娠の機会を遠ざけてしまう原因にもなりかねませんので、まずはお互いの気持ちを大切にしながら取り組めるよう心がけましょう。ストレスの少ない環境を作るために工夫のひとつとしてカウンセリングなどを利用するのも1つの方法です。